新型コロナウイルスワクチンの生食誤注射のニュースは定期的に流れてきます。

5月26日、以下のネットニュースを目にしました。

「東京都は大学生向けの新型コロナウイルスのワクチン接種で、誤って生理食塩水で薄め過ぎたワクチンを接種してしまったと明らかにしました。

東京都は25日、東京・小金井市の東京学芸大学に看護師らを派遣して大学生ら80人にファイザー製のワクチンを接種しましたが、このうち6人分について生理食塩水で薄め過ぎたワクチンを接種したということです。

ファイザー製のワクチンは、通常の接種の際は生理食塩水で5倍に希釈しますが、誤って25倍に薄めていました。」

ワクチン事業にたずさわっていない方は、何故このミスが繰り返されるか不思議に感じられると思われますし、この記事の内容もいまいち分かりにくいと思われますので、解説します。

ファイザー製のワクチンは1瓶0.45ml入っています。

1.8 mlの生理食塩水を加えて2.25mlにします。

接種者に与える注射量は0.3mlずつ6回分とります。

つまり生理食塩水で5倍に希釈して接種されます。

最近では、LOW DEAD SPACEの針及び注射器が手に入ることが多いです。

LOW DEAD SPACEの針及び注射器なら、1.8 mlの生理食塩水を加えて2.25mlに希釈後、0.3mlずつ6回分とるとらほぼ0.45mlの溶液が残ります。

これが、使用未と使用済の容器の見分けがつかなくなり、生理食塩水(低濃度ワクチン)誤注射の原因となります。

当院ナースは、あらかじめワクチン接種注射器に0.3mlより少し多く吸っておき、接種直前に0.3mlに合わせ注射します。

これによって、使用済の容器に残る溶液がわずかになり、使用未の注射器との区別がつきやすくなるし、もし間違えて希釈してしまっても6回分とれないので間違いに気づきます。

また、空気誤注射も防げます🤔。