以前、クリニック内で「部分痩せ」について話題に上がりました。

特定の部位だけを細くしたい、そう願う人は多いのではないでしょうか?

しかし、結論から言うと、実は「部分痩せ」は非常に難しいのが現実です。

今回は、その理由を体脂肪の仕組みから詳しく解説していきたいと思います。

体脂肪の種類とつき方の違い

私たちの体脂肪は、大きく分けて「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2種類があります。

お腹をつまめるようであれば、主に皮下脂肪が多く蓄積しています。

お腹は出ているけれどつまめない、という場合は、お腹の奥に内臓脂肪が蓄積している可能性が高いです。

内臓脂肪の特徴

内臓脂肪は、その名の通り内臓の周りにつく脂肪です。

比較的短期間で蓄積しやすい性質があります。

血管が多く集まる内臓周辺に位置するため、エネルギーとして消費されやすいです。

そのため、体脂肪が減り始める際には、皮下脂肪よりも優先的に消費される傾向にあります。

以前私が手術室で見た、お腹の中の内臓脂肪は、まるで黄色いブドウの房のようで衝撃的でした。

多すぎる内臓脂肪は様々なホルモンを分泌し、健康に悪影響を与えます。

皮下脂肪の特徴

一方、皮下脂肪は皮膚の下につく脂肪で、全身を覆うように存在します。

長い時間をかけて、じわじわと蓄積していきます。

内臓脂肪に比べて血管が少ない部位に広く分布しているため、エネルギーとして使われにくいという性質があります。

その代わりに、体温を保持したり、内臓を外部の衝撃から守るクッションの役割も持っています。

男女差での違い

一般的に、男性は内臓脂肪がつきやすく、女性はホルモンの影響で皮下脂肪が蓄積しやすい傾向にあることが分かっています。

部分痩せトレーニングの効果は?

よく「お腹をへこませたいから腹筋運動だけする」「二の腕を細くしたいから腕立て伏せを頑張る」といった部分痩せトレーニングを耳にしますが、残念ながら特定の部位の脂肪だけをピンポイントで減らす効果は限定的だと考えられています。

何もしないよりは良いですが、部分痩せを目的とするならば、その効果は薄いでしょう。

皮下脂肪は、例えるなら筋肉の上を覆う「ボディスーツ」のようなものです。

大胸筋や上腕二頭筋のように、筋肉はそれぞれ独立したブロックとして存在し、狙った部位をトレーニングすることで肥大化させることは可能です。

しかし、皮下脂肪は筋肉のように部位ごとに独立して付いているわけではありません。

そのため、特定の場所を狙って脂肪だけを落とすことは、構造的に難しいのです。

 

体脂肪が減る順番と、正しいダイエットの進め方

体脂肪が減っていく際、一般的には体の中心から離れた場所(腕や足など)から落ち始めるとされています。

そのため、多くの人が最も気になるお腹周りの脂肪は、大切な内臓を守る役割があるため、比較的終盤まで残ってしまいがちなのです。

「風船がしぼんでいく」ように、体脂肪は全身で少しずつ減っていきます。

長く時間をかけて蓄積した皮下脂肪は、同じく長い時間をかけないと落ちていきません。

都合よく狙った場所だけ減る、という魔法のようなことは起こらないのです。

このことを理解し、ご自身の活動量に合った食事と運動を習慣的に継続すること。

これが、健康的かつ確実に体脂肪を減らし、理想の体を手に入れるための唯一の道です。

焦らず、コツコツと正しい生活習慣を続けていきましょう。

体脂肪は少なすぎてもダメ

ちなみに、体脂肪は多すぎても問題ですが、少なすぎも当然良くありません。

健康的なダイエットのためには、「ほどほど」が大切です。

無理な減量は避け、ご自身の体と向き合いながら、バランスの取れた食生活と運動を心がけてくださいね。