健康的な果物にも潜む「落とし穴」

みなさんは果物についてどんなイメージを持っていますか?

甘くて美味しい、ビタミンや食物繊維が豊富で健康的というイメージ?

しかし、その甘さの源である「果糖」。

果糖を摂りすぎると健康、特に肝臓に悪影響を与えます。

前回は脂肪肝について解説しました。

それに関連して今回は果糖がなぜ脂肪肝につながるのか。

そのメカニズムと上手な付き合い方について解説します。

果糖ってなに?砂糖との違いは?

果糖とは果物やハチミツに多く含まれる単糖類の一種です。

糖類の中で最も甘味が強いのが特徴

一方、砂糖(ショ糖)は「ブドウ糖」と「果糖」が結合したものを指します。

なぜ果糖が脂肪肝を引き起こすのか?

さて、ここからが本題です。

果糖はなぜ脂肪肝を引き起こすのか?

ブドウ糖は全身の様々な細胞でエネルギーとして利用する事ができます。

しかし、果糖はほとんどの細胞で直接利用する事ができません。

では、どこならこの糖を処理できるのか?

それが肝臓なんですね。

そう、果糖は肝臓でしか処理・代謝することができないのです。

そのため、過剰な果糖が体に入ると、肝臓に負担が一気に集中するのです。

果糖のままでは他の細胞で使う事ができないため、肝臓に入ってきた果糖を優先的に中性脂肪に変えていくように促します。

これが繰り返されることで、脂肪肝が出来上がるわけです。

インスリンとの関係

果糖はインスリンを強く分泌させないため、血糖値を上げにくいとされます。

「ビタミンや食物繊維もあって、血糖値も上げにくいなら健康的な食べ物じゃないか。」

このような考えになってしまいますが、ここに落とし穴があります。

過去のブログでも「インスリン抵抗性」は肥満を招く原因だと解説しましたが、

脂肪肝はインスリン抵抗性を引き起こします。

果糖を過剰摂取する事は、たとえ血糖値を直接上げなくてもインスリン抵抗性を

引き起こし、脂肪の蓄積をさらに促す可能性があります。

そして、インスリンの効きが悪くなることで、

肝臓がさらに脂肪をため込みやすくなる悪循環を生み出します。

どんな食品に注意すべき?意外な「果糖源」

果糖は果物にのみ含まれるかといえば、そんな事はありません。

現代の加工食品には「隠れ果糖」として大量に含まれていることがあります。

①果物全般

最近の果物は「甘さ・糖度」が重要視されており、昔の果物と比べて甘味が出るように改良されている物が多いです。

ドライフルーツも要注意ですね。水分が抜けている分、糖分がギュッと凝縮されています。

生のフルーツと同じ感覚で食べると、かなりの果糖を摂ってしまうことになります。

 

②清涼飲料水・野菜ジュースなど

「100%果汁」や「野菜ジュース」と聞くと、ヘルシーなイメージを持つかもしれません。

しかし、市販の加工されたジュース類は、実質的に果糖の塊と言っても過言ではありません。

加工される際に濃縮されるため、生の果物と比べて多くの糖分を一度に摂取することになります。

また、多くの清涼飲料水には「異性化糖(果糖ブドウ糖液糖など)」が高濃度で添加されています。

これは文字を見て分かる通り、果糖を多く含む甘味料です。

喉が渇いた時に気軽に飲んでしまうと、大量の糖分を摂りすぎてしまいます。

 

③ 「加工食品」に隠れた果糖

私たちの身の回りの加工食品には、意外なほど果糖が使われています。

甘さを感じにくい食品にも、保存性を高めたり、風味を良くしたりするために添加されていることがあります。

これが最も見過ごされがちな「隠れ果糖」です。

菓子パンにはだいたい使われていますが、食パンや惣菜パンにも甘味料が使われていることがあります。

ヨーグルトは加糖タイプはもちろんのこと、低脂肪や無脂肪のヨーグルトでも、味が薄まるのを補うために糖分が加えられていることが少なくありません。

サラダドレッシング、焼肉のタレ、ケチャップ、ソース類など、

様々な調味料に「果糖ブドウ糖液糖」などが使用されているケースが多々あります。

 

こうしてみると、私たちの身の回りの食品にはだいたい使用されているのが分かりますね。

健康的な果糖の摂取のポイント

①適量を守ること

すっきりとした甘さの物が多いため、ついつい食べ過ぎてしまいがちです。

食後のデザートなどに少量楽しむ程度が良いでしょう。

 

②そのままのフルーツを食べる

ジュースで摂取するより、フルーツを丸ごと食べる方が栄養を無駄なく摂取できます。

液体だと糖の吸収スピードも速くなります。

健康を考えて摂取するなら、ジュースよりフルーツそのものを食べる事をお勧めします。

 

③加工食品のチェック

「隠れた果糖」を見つけるには、食品表示(原材料名)の確認が不可欠です。

果糖ブドウ糖液糖」「異性化糖」「ぶどう糖果糖液糖」といった表示を見たら、果糖が含まれているサインです。

食品表示はパッケージの裏面など必ずに書いてあります。

ぜひ、購入前に原材料名をチェックする習慣をつけてみてください。

 

④水分補給は水やお茶で

糖がたっぷり含まれた甘い飲み物ではなく、水やお茶で水分補給をしましょう。

液体というだけで吸収スピードが段違いです。

甘味と上手に付き合い、肝臓を守ろう

果糖が肝臓に与える影響について分かっていただけたでしょうか。

果糖は自然界に存在する糖であり、適量であれば問題ありません。

しかし、現代の食生活では人工的に作られた果糖を含む食品が大量にあります。

何も考えずに食べていると、意図せず摂り過ぎてしまうのです。

糖が含まれている食べ物はたしかに美味しいです。

全て排除すること現実的ではありません。

ですが、肝臓を守るためには果糖の特性をしっかり理解し、

糖とは程よい距離感で付き合っていくことが非常に重要です。

今日の食事が、明日の健康を作ります。

それでは。