健康やダイエットに関心がある方なら、「低GI食品」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
低GI食品は血糖値の急激な上昇を抑えると言われ、健康的なイメージが強いですね。
しかし、実はそこに落とし穴があることをご存知でしょうか?
「低GIの食品だから」と油断していると、知らず知らずのうちに血糖値を上げてしまっているかもしれません。
今回は、低GI食品の本当の姿と、健康的な食生活を送る上で本当に大切なことについてお話しします。
GI値だけを見ていませんか?GI値のカラクリ
GI値(グリセミックインデックス)とは、
食品に含まれる糖質がどのくらいの速さで吸収され、血糖値を上昇させるかを示す指標です。
具体的には食品を摂取した後の血糖値の上昇速度を、ブドウ糖を基準値100として相対的に表したものになります。
〜代表的なGI値分類別食品例〜
高GI食品(GI値 70以上)
食パン、白米、もち、うどん、じゃがいも、チョコレート、ドーナツ、せんべい
水あめ、ブドウ糖
中GI食品(GI値 56~69)
パスタ、そば、玄米、ライ麦パン、さつまいも、バナナ、パイナップル、メロン
低GI食品(GI値 55以下)
全粒粉パン、オートミール、きのこ、海藻類、葉物野菜、肉、魚、卵、チーズ、豆腐
ほとんどの豆類、りんご、オレンジ、いちご、アボカド
GI値が低い食品は血糖値の上昇が緩やかであるため、体に優しいとされています。
しかし、GI値が低いとされている食品でも、食べる量が増えれば当然、体に取り込まれる糖質の総量も増えます。
GI値が低いからといって、大量に食べても血糖値が上がらないなんてことはありません。
むしろ、高GIの食品を少量食べるよりも、低GIの食品を大量に食べる方が、結果的に血糖値が大きく上がってしまう可能性があるのです。
果物のGI値はなぜ低い?「果糖」の特性と血糖値の関係
ここで、果物について考えてみましょう。
一般的に、多くの果物はGI値が低め、あるいは中程度に分類されます。
これは、果物に含まれる糖質の一つである「果糖(フルクトース)」の特性が大きく関わっています。
血糖値とは、血液中の「ブドウ糖」の濃度を指します。
私たちが食事から摂取したブドウ糖は、小腸から直接血液中に吸収され、すぐに血糖値を上昇させます。
一方、果糖は摂取されると、まず肝臓に運ばれて代謝されます。
この代謝の過程でブドウ糖に変換されたり、グリコーゲン(貯蔵用の糖)や中性脂肪に変換されます。
果糖は、直接血液中のブドウ糖として循環する量が少ないため、摂取後の急激な血糖値の上昇にはつながりにくいのです。
この特性があるため、フルーツは全体的にGI値が低めに出る傾向があります。
果糖単体のGI値は非常に低い(約19)とされていますしね。
じゃあ、「フルーツはいくら食べても血糖値が上がらないから安心だ」と考えるのはかなり危険です。
全く安心ではないのです。
果糖の過剰摂取は、肝臓で代謝される際に中性脂肪に変わりやすいという特徴があります。
これにより、脂肪肝や肥満、糖尿病リスクを高めることが指摘されています。
本当に重要なのは「糖質の総量」
私たちが本当に注目すべきは、GI値だけではなく、「糖質の総量」です。
どんなにGI値が低い食品でも、糖質量が多ければ、吸収される糖の総量が増え、
結果として血糖値は大きく上昇します。
例えば、一見ヘルシーに見える全粒粉パスタや玄米なども、ほとんどが糖質です。
食べる量が多ければ、それだけ多くの糖質を摂取することになります。
「低GI食品だから」と安心して量を食べ過ぎてしまうと、結局は血糖値の急上昇を招き、
体脂肪の蓄積や生活習慣病のリスクを高めてしまう可能性があるのです。
賢い食品選びのために
では、私たちはどのように食品を選べば良いのでしょうか?
大切なのは、GI値だけで判断せず、食品の「糖質量」を意識した食事を心がけることです。
①食品の栄養成分表示を確認する
炭水化物量、特に糖質量をチェックする習慣をつけましょう。
②食べる量に注意する
低GI食品だからといって食べ過ぎは禁物です。適量を守りましょう。
③バランスの取れた食事を心がける
糖質だけでなく、タンパク質や脂質、食物繊維もバランス良く摂取することが、血糖値のコントロールには不可欠です。
糖質単体で摂取するより、これらを組み合わせて食べることで、血糖値上昇を比較的緩やかにできます。
正しい選択で健康的な食生活を
GI値という指標は、あくまで健康的な食生活を送るための一つの目安に過ぎません。
「低GIだから安心」という思い込みを捨て、食品の「糖質量」に意識を持つことが、
あなたの健康を守ることにつながります。
何事も見た目やイメージに惑わされることなく、本質を見ることが大切ですね。
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