皆さん、こんにちは!甘酒と聞いて、何を思い浮かべますか?
健康や美容に良いイメージがありますね。
メディアなどでは「飲む点滴」なんて言われるほど、様々な栄養素が含まれています。
でも、ちょっと待ってほしいのです。
「健康に良いから」という理由だけで、手放しで飲み続けても大丈夫なのでしょうか?
つい最近、テレビでも甘酒のことが紹介されていましたので、
今回は甘酒の特徴や飲む場合の注意点などを解説していきたいと思います。
甘酒が「飲む点滴」と言われる理由
まずは、甘酒がなぜ「飲む点滴」と言われるほど体に良いのか、その特徴を見ていきましょう。
甘酒には「米麹甘酒」と「酒粕甘酒」の2種類があります。
①米麹甘酒の特徴
原材料:米、米麹、水
製法:炊いた米に米麹を混ぜ、適切な温度で保温することで、米麹に含まれる酵素(アミラーゼなど)が米のデンプンを糖化させ、自然な甘みを生み出します。
アルコール発酵ではないため、アルコール分は一切含まれていません。
お子様からお年寄り、妊娠中の方まで、安心して飲むことができます。
栄養成分
・ブドウ糖: 効率の良いエネルギー源となり、疲労回復に役立ちます。
・必須アミノ酸: 体内で生成できないアミノ酸をバランス良く含んでいます。
・ビタミンB群: 糖質や脂質の代謝を助け、美容や健康維持に貢献します。
・オリゴ糖、食物繊維: 腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果が期待できます。
・コウジ酸:メラニン生成を抑制する働きがあります。
②酒粕甘酒の特徴
原材料:酒粕、水、砂糖
製法:酒粕をお湯で溶かし、砂糖などの甘味料で味を調えます。
酒粕にはアルコール分が残っているため、酒粕甘酒には微量のアルコールが含まれる場合があります。
気になる方は、一度鍋で煮立てることでアルコールを飛ばすことができます。
栄養成分
・レジスタントプロテイン:
消化されにくいタンパク質で、余分な脂質を吸着して排出する働きが期待されています。
・食物繊維: 腸内環境を整えるのに役立ちます。
・ビタミンB群: 米麹甘酒と同様に豊富に含まれています。
・酵母: 酒造りの過程で生き残った酵母が、腸内環境に良い影響を与える可能性があります。
・Sアデノシルメチオニン (SAM):
神経伝達物質のバランスを整え、ストレスを和らげ、心を落ち着かせる効果が期待されます。
このように、甘酒には素晴らしい栄養素がたくさん含まれていますし、飲む点滴なんて呼ばれるのも分かります。
それでも忘れてはいけない「糖質の塊」であるということ
しかし、ここで立ち止まって考えてみてほしいのが、甘酒の「甘さ」です。
この甘さの正体は、ほとんどが糖質です。
栄養豊富だから、健康に良いからという漠然とした理由だけで毎日ゴクゴク飲んでいると、
知らず知らずのうちに糖質を過剰に摂取してしまう可能性があります。
・ジュース感覚で何杯も飲んでいませんか?
・1日の糖質摂取量を意識していますか?
糖質の過剰摂取は、肥満や糖尿病などを始めとした生活習慣病のリスクを高めます。
特に、市販の甘酒の中には、砂糖が添加されているものも少なくありません。
飲む場合は、商品の原材料表示をよく確認することが重要です。
「なぜ甘酒を飲むのか?」自分への問いかけ
では、あなたはなぜ甘酒を飲むのでしょうか?
- 「健康に良いから」という漠然とした理由ではないか?
- 「手軽に栄養を摂りたいから」という理由か?
- 「甘いものが飲みたいけれど、ジュースよりはヘルシーだから」という妥協か?
一度、ご自身の中で甘酒を飲む理由を明確にしてみてください。
もし、「手軽に栄養を摂りたい」のであれば、その栄養は本当に甘酒でなければ摂れないものでしょうか?
- アミノ酸ならプロテインや他の食品で摂れるのでは?
- ビタミンB群ならサプリメントや普段の食事で補えるのでは?
- 腸活なら、ヨーグルトや発酵食品、食物繊維豊富な野菜で十分では?
もちろん、甘酒には甘酒ならではの魅力や栄養バランスがあります。
しかし、漫然と摂り続けるのではなく、ご自身の食生活全体の中で、甘酒がどのような役割を果たすのかを考えることが大切だと僕は思います。
僕が甘酒を「積極的に勧めない」理由
「飲む点滴」とまで言われる甘酒ですが、正直なところ、私自身は積極的に飲むことをおすすめしません。
その最大の理由は、やはり糖質の多さにあります。
商品にもよりますが、100mlあたり約18g程度とされます。
液体であるため、消化吸収が良く、体調が悪い時などには栄養補給として役立つ面もありますが、それはあくまで一時的なもの。
そうでない場合、日常的に飲むことは、その糖質がデメリットになりうると考えています。
実際に、私が指導している患者さんの中にも、「健康に良いから」という理由だけで甘酒を毎日習慣的に飲んでいる方がいらっしゃいました。
しかし、その方は糖尿病を患っていて、内服薬で治療中だったわけです。
糖尿病の治療は何よりも血糖コントロールが重要ですから、口にする糖質には人一倍注意しないといけません。
甘酒は液体の糖質です。吸収スピードも早く、血糖値を急上昇させます。
よって、糖尿病の方、糖尿病予備軍の方は特に注意が必要な食品になります。
このことについて説明し、その方には甘酒を控えていただきました。
現在では良好な数値でコントロールできて、内服薬も減らすことができています。
このように、健康に良いと思って飲んでいても、デメリットがメリットを上回ってしまう可能性も十分に考えられます。
甘酒の栄養素は、他の食品やサプリメントでも十分に補うことができます。
普段の食事で必要な栄養をバランス良く摂ることの方が、はるかに重要だと私は考えます。
甘酒と賢く付き合うために
甘酒は、その栄養価の高さから魅力的な飲み物であることは間違いありません。
寒い時期に飲む、温かい甘酒は美味しいですし、僕も飲むことがあります。
しかし、高糖質な食品であることは理解し、以下のポイントに注意して賢く生活に取り入れましょう。
○飲む量に注意する
適量を心がけ、飲みすぎないようにしましょう。
○飲むタイミングを考える
例えば、体調不良時や、どうしても甘いものが欲しい時に少量だけ取り入れるなど、限定的な状況で利用を検討しましょう。
○無加糖の米麹甘酒を選ぶ
市販品は成分をよく確認し、できるだけ無加糖のものを選びましょう。
○他の食材とのバランスを考える
甘酒だけでなく、普段の食事でバランス良く栄養を摂ることが基本です。
○本当にその栄養は甘酒でなければならないか?を自問する
他の食材や調理法で代替できないか考えてみるのも良いでしょう。
まとめ
甘酒は「飲む点滴」と言われるほど栄養豊富な一方で、糖質も多く含んでいます。
メディアなどではその素晴らしい健康メリットばかりが紹介されがちですが、
日常的に飲むことについては、糖質の観点から慎重になるべきだと僕は考えます。
1日の糖質量が適切な範囲で過ごせているのであれば良いのですが、
それをオーバーしているのにも関わらず、「健康目的」を理由に甘酒を飲むことは、
少し違うかなと僕は思います。
健康に良いからと盲目的に飲むのではなく、「なぜ甘酒を飲むのか」「それは自分の体にとって最適な選択なのか」を自問自答することが大切です。