PFCバランスは、栄養指導やダイエット情報でもよく目にする、健康的な食事の「指標」として広く知られています。
しかし、国が推奨するPFCバランスには、多くの人が知らない重大な落とし穴が存在します。
PFCバランスを鵜呑みにして食事を管理しているあなたは、もしかしたら健康から遠ざかっているかもしれません。
なぜ、そのバランスが危険なのか?
今回は、PFCバランスに隠された真実と、私たちが本当に目指すべき食生活について解説していきます。
国が推奨するPFCバランスとは
皆さんは国が推奨するPFCバランスがどのようなものかご存知でしょうか?
厚生労働省は「日本人の食事摂取基準」において、各栄養素の目標量を以下のように定めています(成人1日あたりの目安)。
P(タンパク質):13〜20%
F(脂質):20〜30%
C(炭水化物):50〜65%
これを見ると、炭水化物の割合が他の栄養素に比べて圧倒的に高く設定されていることがわかります。
炭水化物の割合は「逆算」で決まっている
実は、このPFCバランスには注意が必要です。
国が推奨するバランスは、まず「生きていく上で最低限必要なタンパク質と脂質の量を確保する」ことを前提としています。
そして、「残りのエネルギー源をすべて炭水化物で補う」という考え方で構成されているのです。
つまり、タンパク質と脂質の割合が先に決まり、炭水化物の割合は、その残り物として「逆算」して導き出された量ということです。
炭水化物摂取の割合には科学的根拠はないのです。
具体的な数字で見ていくと…
1日に2000kcalを摂取すると仮定して、摂取する炭水化物の量を計算してみましょう。
国が推奨している炭水化物摂取量の割合は50〜65%ですから…
・下限 (50%)
カロリー: 2000kcal × 0.50 = 1000kcal
グラム数: 1000kcal ÷ 4kcal/g = 250g
・上限 (65%)
カロリー: 2000kcal × 0.65 = 1300kcal
グラム数: 1300kcal ÷ 4kcal/g = 325g
つまり、1日2000kcalを摂取する場合、炭水化物は250g〜325gの範囲が国が設定した適切な範囲となります。
一般的に糖質制限では1日120g程度に設定することが推奨されています。
国が設定している割合に従うと倍以上の炭水化物を摂取してしまうことになりますね。
これに従って食事をしてしまうと、糖質過多により肥満や糖尿病のリスクを高めてしまいます。
日本人の食事摂取基準は病院食でも
多くの病院で出されている食事は、この割合をもとに作られています。
よって、血糖コントロールをしたいはずの糖尿病患者さんにも、糖質たっぷりの食事が提供されています。
血糖値を上げるのは糖質だけですから、そんな食事をしたら血糖値が上がるのは当然です。
それで上がった血糖値を、次の食前にインスリン注射などで無理やり下げています。
インスリンは肥満ホルモンでもありますから、肥満を助長してしまいます。
糖質制限でのメニューとなると、食材などのコストの面から難しいのかもしれません。
しかし、この矛盾した現状が、日本の医療現場の課題の一つとも言えるでしょう。
糖質制限を意識した新しいPFCバランスの考え方
糖質制限を勧めている身としては、国が設定している炭水化物の割合は多すぎるわけです。
そこで、炭水化物の割合を30〜40%程度に抑えたバランスでPFCバランスを設定する事をお勧めします。
糖質30〜40%に抑えるメリット
①タンパク質と脂質の確保
炭水化物の割合を下げることで、タンパク質と脂質の摂取量を確保しやすくなります。
これにより、筋肉やホルモンの材料となる重要な栄養素が不足するリスクを減らすことができます。
特に、現代の食生活では脂質が悪者扱いされていますが、細胞膜やホルモンを作る上で不可欠な栄養素であり、むしろ積極的に摂取すべきです。
②血糖値の安定
炭水化物の摂取量が減ることで、食後の急激な血糖値の上昇(血糖値スパイク)を抑えやすくなります。
血糖値が安定すると、空腹を感じにくくなったり、眠くなりにくくなったりといったメリットがあります。
③体脂肪燃焼の促進
炭水化物の摂取が減ると、体はエネルギー源として体脂肪を効率良く利用できるようになります。
これは、ダイエットにおいて非常に効果的です。
まとめ
糖質制限は、決して炭水化物を「悪者」にするわけではありません。
適切なバランスを知ってほしいのです。
私たちが健康を維持するためには、タンパク質と脂質を必要量しっかりと摂取することが不可欠です。
これらは体内で作り出せないものがあるからです。
これらが不足すると、筋肉の減少だけでなく、ホルモンバランスの乱れや体調不良にもつながります。
ですが、糖質だけは体内でタンパク質や脂質をもとに作り出すことができます。
国が設定している炭水化物量は、一般の人には過剰です。
ご自身の目標や活動量に合わせて、最適なバランスを見極めていきましょう。