「集中力が切れたから甘いものを食べよう」
「朝食にご飯を食べないと頭が働かない」
このように考えている人は多いのではないでしょうか?
確かに、ブドウ糖は脳の重要なエネルギー源です。
しかし、「ブドウ糖を食事から摂り続けなければ脳は機能しない」というのは、大きな勘違いです。
私たちの体には、食事から糖を摂らなくても脳を働かせるための仕組みが備わっています。
体内でブドウ糖は「作れる」
実は、脳が必要とするブドウ糖は、必ずしも食事から補給する必要はありません。
私たちの体には「糖新生」という素晴らしい機能があります。
この機能により、タンパク質や脂肪を材料にして、必要な量のブドウ糖を自ら作り出すことができます。
つまり、糖質制限をしても、体内でブドウ糖が枯渇することはないのです。
脳は別の燃料も使える
さらに、脳はブドウ糖の他にもう1つのエネルギーを使うことができます。
それが「ケトン体」です。
ケトン体は、脂肪を分解することで作られる物質で、肝臓で作られます。
脳には血液脳関門という関所があるのですが、これは脳に必要な物質のみを選択的に通します。
ケトン体はこの血液脳関門をブドウ糖と同様に通過することができ、ブドウ糖が不足している時に、脳の主要なエネルギー源として使われます。
ケトン体を効率的に使うことで、集中力や思考力が安定するといったメリットも報告されています。
誤解が生まれた理由と、本当の「頭が働かない」原因
では、なぜ「糖を摂らないと頭が働かない」という誤解が広まったのでしょうか?
まず、私たちは子どもの頃から「朝食を食べないと頭が働かないぞ」と教えられて育ちました。
そして、朝食の主食はご飯やパンといった炭水化物(糖質)が中心です。
このような長年の刷り込みが、「糖=脳のエネルギー源」という強い思い込みを生み出したと考えられます。
次に、メディアの影響も大きいと思います。
疲れた時に甘いものや栄養ドリンクを摂取するシーンが描かれることで、「糖分補給=元気が出る」というイメージが定着しました。
たしかに、甘いものや栄養ドリンクを摂取すると、一時的に元気が出たように感じるのは事実です。
これは、血糖値の急激な上昇によるもので、一時的に脳がハイになっている状態です。
しかし、この状態は長続きしません。
その後は大量のインスリンにより血糖値が急降下するため、かえって倦怠感や眠気を感じやすくなります。
本当の「頭が働かない」原因は、糖質の不足ではなく、この血糖値の乱高下や、集中力を妨げる他の要因(睡眠不足、水分不足など)にあることが多いのです。
頭が疲れている時は、ストレッチや散歩などの軽めの運動をしてみましょう。
血流がアップして頭がスッキリしますよ。
まとめ
「糖を摂らないと頭が働かない」という考えは、もはや過去の思い込みです。
糖質を摂ることで一時的に元気が出たように感じるのは、血糖値の急上昇によるもの。
しかし、その後の低血糖状態が、集中力の低下や眠気の原因となっているのです。
脳を働かせようと甘いものを摂った結果、逆に脳の機能を低下させていたわけです。
真に集中力を高め、パフォーマンスを維持するためには、血糖値の乱高下を避けることが重要になります。
糖質に頼るのではなく、日々の食事や生活習慣を見直し、血糖値を安定させること。
それが、あなたの脳を最高の状態に保つために効果的な方法です。