みなさんは砂糖に依存性があることをご存知でしょうか?
依存性と聞くと、アルコールやタバコ、薬物を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、実は砂糖は麻薬性物質と同じような中毒性があり、「マイルドドラッグ」と呼ばれるほどです。
「食べ過ぎがダメなのは分かっているけど、甘い物がどうしてもやめられない……」
もしそう感じているなら、それはあなたの意志が弱いわけではなく、「糖質依存」が原因かもしれません。
今回は、その仕組みと対策についてお話しします。
なぜ砂糖を摂ると「幸せ」を感じるのか?
砂糖(糖質)を摂り、血糖値が上昇すると、脳内でドーパミンというホルモンが分泌されます。
このドーパミンが脳に作用し、快感や幸福感をもたらすのです。
はるか昔、狩猟採集の時代には今のように食べ物がすぐに手に入る状況ではなく、「飢え」がすぐ身近にありました。
食べ物、特に貴重なエネルギー源である糖質は、生きるためのご褒美でした。
この時代の記憶から、脳は糖質を摂ると快感を得るようにプログラムされています。
つまり、「糖質を摂る=生き残るために必要なこと」と学習しているのです。
止まらない食欲の正体、それは「糖質依存」
この依存性の仕組みは、脳が一度快感を覚えると「もっと欲しい!」と求めることにあります。
すると、体には十分なエネルギーがあるのに、脳は再び快感を得るために「もっと糖質を摂れ!」と命令を出します。
この命令に抗うのはとても難しく、私たちはついついお菓子などに手を伸ばしてしまうのです。
さらに、脳は快感という刺激に徐々に慣れてしまいます。
こうなると、前よりも強い刺激でないと満足できない状態になってしまうのです。
その結果、どんどん量が増え、食欲が止まらない状態に陥ってしまいます。
糖質依存が体に引き起こす悪影響
糖質依存になると、血糖値の急上昇と急降下を繰り返すようになります。
①糖質摂取:血糖値が急上昇
②インスリン大量分泌:血糖値が急降下
③空腹感・イライラ:脳がエネルギー不足と勘違いし「もっと糖質を摂れ!」と命令
④再び糖質摂取:血糖値が再度急上昇
この「血糖値のジェットコースター」のような状態は、イライラや集中力の低下、強い眠気などを引き起こします。
また、血糖値を下げる際には脂肪が合成されやすくなるため、肥満にもつながります。
今日からできる!糖質依存から抜け出すための対策
依存性があるとはいえ、糖質は生きていく上で必要な栄養素です。
糖質断ちをすると食べる物もかなり制限されますから、精神的にも継続は困難です。
糖質を完全に断つのではなく、過剰摂取を防ぐことが重要になります。
①間食を見直す
空腹感を感じたら、お菓子ではなくタンパク質や脂質を多く含む食品でお腹を満たしましょう。
サラダチキン、ゆで卵、ミックスナッツ、チーズ、プロテイン、ハイカカオチョコレート(70%以上)などがおすすめです。
これにより、血糖値の乱高下を抑えつつ、3食だけでは不足しがちな栄養を補給できます。
※プロテインは商品によってタンパク質が少なく、糖質が多い種類もあるので、成分表を確認しましょう。
②飲み物で気を紛らわせる
甘いジュースの代わりに、炭酸水や温かいお茶、ブラックコーヒーなどを飲むのも効果的です。
手軽に気分転換ができ、余計な糖質の摂取を抑えられます。
③環境を整える
自宅や職場に、お菓子や甘いジュース、アイスなどがストックされていませんか?
このような環境は、糖質に依存させやすくします。
習慣というのは、簡単に快楽が得られるほど、定着しやすい傾向があります。
お腹が空いてもすぐに手が出せないよう、環境から整えていきましょう。
おわりに
「毎日お菓子や甘いジュースが欠かせない」と感じている人は、糖質を摂りすぎていないか、食生活を振り返ることをおすすめします。
砂糖に限らず、お米やパン、麺類なども糖質が多い食品です。
糖質を適量に制限することで、糖質への依存は徐々に減っていきます。
糖質とは、日頃から適度な距離感を持って付き合っていきましょう。