みなさんは、夕食後から朝食までの時間をどう過ごしていますか?
「朝まで何も食べないのは当たり前」と思う方もいれば、
「ついつい夜食に手が伸びてしまう」という方もいるかもしれません。
実はこの「何も食べない時間」こそ、私達の体にとって非常に重要な意味を持ちます。
「断食」や「ファスティング」なんて呼ばれていますね。
何も食べない時間を作ることは体にとって大切なのですが、
一般的な断食は1日だったり、数日にかけて行うことを勧めています。
これは確かに効果があるかもしれませんが、その分負担も大きく、多くの人にとってハードルが高いと思っています。
そこで、僕は睡眠中の絶食時間を利用した「プチ断食」をオススメしています。
今回は「睡眠中のプチ断食」に、どのようなメリットがあるのかを解説します。
①インスリンを休ませて、抵抗性を改善する
食事をすると、血糖値を下げるためにインスリンが分泌されます。
特に、糖質の多い食事を摂ると、それだけ多くのインスリンが必要になります。
しかし、インスリンが大量に分泌され続けていると、インスリンの感受性が鈍くなり、
次第に効きにくくなってしまいます。
これが「インスリン抵抗性」です。
夕食後から翌日の朝食まで何も食べない時間を作ることで、膵臓はインスリンを追加で分泌する必要がなくなります。
(基礎分泌といって、インスリンは常に一定量分泌されています。)
これにより、膵臓を休ませることができます。
インスリンの追加分泌も減りますから、血中インスリンレベルも低下し、その働きを正常に戻す手助けとなります。
この「インスリン抵抗性」は肥満の原因とされています。
これが改善されれば、血糖値のコントロールがしやすくなり、脂肪もつきにくくなるのです。
②睡眠中は脂肪が燃焼されるゴールデンタイム
私たちが寝ている間も、体は生命維持のためにエネルギーを使っています。
特に、夕食後から時間が経過して、血糖値が安定した状態では、脂肪を主なエネルギー源として利用するように切り替わります。
これは、日中に活動するために使われた「財布の中のお金(グルコースやグリコーゲン)」が枯渇して、いよいよ「銀行口座のお金(体脂肪)」を使う時が来た状態です。
このメカニズムを最大限に活かすためには、夜食を避け、できるだけ長い絶食時間を確保することが重要です。
③夕食の内容がカギ!糖質を控えて効果を高める
睡眠中のプチ断食の効果をさらに高めるためには、夕食の内容がとても重要になります。
夕食で糖質を多く摂りすぎると、血糖値が急上昇し、インスリンが大量に分泌されます。
これは財布にお金を補充している状態です。
これでは、寝ている間も脂肪が燃えにくい状態が続いてしまいます。
夕食では、ご飯やパンといった糖質をなるべくゼロに近づけるのがおすすめです。
そして、減らした糖質の代わりに、タンパク質や脂質、野菜をメインに食べましょう。
これにより、満腹感を得つつ、夜間の脂肪燃焼をスムーズに行えます。
④体を内側から綺麗にするオートファジー
絶食時間が長くなると、体はオートファジーという仕組みを活性化させます。
これは、細胞内の古くなったタンパク質や、不要になったものを分解して再利用する、いわば「細胞のお掃除」機能です。
この働きは、健康な体を維持するために非常に重要です。
夜のプチ断食は、このオートファジーを促し、体を内側からリフレッシュする効果も期待できます。
⑤血糖値の安定がもたらす質の良い睡眠
夕食で糖質を摂りすぎると、食後高血糖が起こり、その反動で睡眠中に血糖値が下がりすぎて低血糖になってしまうことがあります。
特に就寝前に高糖質の食事を摂ると、このリスクは上がります。
この血糖値の乱高下は、睡眠中に交感神経を刺激し、眠りを浅くしたり、途中で目が覚めてしまう原因にもなります。
そう、睡眠の質が落ちてしまうのです。
夕食の糖質を適度に控えることで、食後の血糖値の変動が穏やかになり、夜間の低血糖リスクを抑えられます。
結果として、体がリラックスした状態で朝までぐっすり眠ることができ、睡眠の質の向上にもつながるのです。
夕食の糖質を減らすと、朝の目覚めも違ってきますよ。
今夜からできる「夜のプチ断食」の始め方
夜のプチ断食は、特別な準備は必要ありません。
・夕食はなるべく寝る3時間前までに済ませる
・夕食後、胃の中に入れるのは水やお茶などの無糖の水分のみにする
非常にシンプルですね。
まずはできる範囲で試してみましょう。
仕事などで食事が遅くなるような場合は、帰宅後にしっかり食べるのではなく、
事前に低糖質の食品を食べておいて、帰宅後の夕食は控えめにしておきましょう。
僕はだいたい19時には夕食を終えて、翌朝は6時頃から朝食を摂っています。
寝ている間の自然な断食なので、身体的、心理的負担も少ないです。
みなさんも、日々の習慣に「夜のプチ断食」を取り入れて、健康的な体に変化させていきましょう。