以前のブログで就寝中のプチ断食について解説しました。

長時間絶食している時、体は一体どうやってエネルギーを得ているのでしょうか?

そのカギを握るのが、今回ご紹介する「糖新生(とうしんせい)」です。

実は、この糖新生はダイエットにも非常に役立ちます。

今回はそんな糖新生について解説していきたいと思います。

糖新生の基本的な仕組み

私たちは普段、食事から摂ったブドウ糖(糖質)をエネルギー源として利用しています。

しかし、糖質が不足すると、体は危機を察知し、別の方法でブドウ糖を作り出そうとします。

なぜなら、私たちの体には、ブドウ糖を主なエネルギー源とする組織があるからです。

特に、脳や赤血球は、ブドウ糖がなければ正常に機能できません。

赤血球に至っては、ブドウ糖を唯一のエネルギー源としています。

ちなみに、脳は後述する別のエネルギーを代用することができます。

この、糖質以外の物質からブドウ糖を合成する働きを「糖新生」と言います。

主に使われる材料は、筋肉や脂肪から分解されたアミノ酸や乳酸、グリセロールといった物質です。

これらの材料は肝臓に運ばれ、複雑なプロセスを経てブドウ糖に生まれ変わります。

この仕組みがあるおかげで私達は、長期間水さえあれば食事を摂らなくても生きていけるのです。

糖新生がダイエットに役立つ理由

糖新生がダイエットと深く関係している理由は、主に以下の3つです。

①体脂肪の分解を促す

糖新生には、脂肪細胞を分解して得られるグリセロールが使われます。

つまり、糖新生が活発になると、体はエネルギー源として体脂肪を分解しやすくなるのです。

②多くのエネルギーを消費する

糖新生は、ブドウ糖をそのまま利用するよりも多くのエネルギーを必要とするプロセスです。

そのため、糖新生が活発になると、基礎代謝が上がりやすくなるというメリットがあります。

これにより、何もしていなくても消費されるカロリーが増え、ダイエットをサポートしてくれます。

③ケトン体の生成

体内にブドウ糖が少ない状態が続くと、体はブドウ糖の代わりに「ケトン体」という物質を主要なエネルギー源として使い始めます。

この状態をケトーシスと呼び、糖新生と並行して起こります。

ケトン体は、脳のエネルギー源にもなるため、空腹感や集中力の低下を防ぎ、ダイエットを続けやすくする効果も期待できます。

※ケトン体が作られるためには、1日の糖質量を50g以下にまで制限することが目安とされているため、なかなか厳しめに制限しなければなりません。

注意点:正しい知識を持って実践しよう

糖新生の仕組みを利用したダイエット法として、「糖質制限ダイエット」や「ケトジェニックダイエット(糖質をほぼゼロにしたもの)」があります。

当クリニックでも糖質制限(ロカボ)をベースにして食事指導を行っています。

※ロカボ:1日の糖質量を120g程度に設定した方法。

しかし、これらを誤った方法で無理に行うと、筋肉の分解が進んだり、体調を崩したりするリスクもあります。

・筋肉の分解

糖新生にアミノ酸が使われすぎると、筋肉量が減ってしまう可能性があります。

これを防ぐためには、適度なタンパク質摂取と筋力トレーニング、そしてカロリーをしっかりと摂取することが大切です。

・専門家への相談

糖質制限を行う場合は、医師や管理栄養士などの専門家に相談し、自分に合った方法を見つけることが大切です。

特に持病がある方や、糖尿病でインスリンや内服治療をしている方はかかりつけの医師に相談してから行うようにしましょう。

糖新生は、私たちの体が持つ素晴らしい機能の一つです。

この仕組みを正しく理解し、賢くダイエットに活かしていきましょう。

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