太る原因はインスリン!?肥満とインスリンの意外な関係

「頑張って食事制限をしているのに、なかなか体重が減らない…」 

「むしろ、最近ちょっと体が重く感じるようになった気がする…」

もしかすると、そのダイエットの停滞や、知らず知らずのうちに増えてしまう体重の裏には、私たちの体内で働くある重要なホルモンが深く関係しているのかもしれません。

そのホルモンこそが、「インスリン」です。

インスリンは「血糖値を下げるホルモン」として知られていますが、実はその働きはそれだけではありません。

多くの人を悩ませる「肥満」にも深く関わっているのです。

今回は、なぜインスリンが肥満に繋がるのか、そしてどうすれば健康的な体を目指せるのかについて詳しく解説していきます。

インスリンって、どんなホルモン?

私たちが食事で糖質を摂取すると血糖値が上昇します。

この血糖値は高すぎても低すぎても問題があるため、体は血糖値を一定に保とうと働きます。

血糖値が上昇した時に登場するのが、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモン。

インスリンには様々な働きがありますがここでは2つに絞って解説します。

 

①ブドウ糖を細胞へ取り込む

インスリンは血液中のブドウ糖を体中のさまざまな細胞の中へ取り込む「」のような役割があります。

インスリンが細胞の扉の鍵を開けることで、入り口を開くイメージです。

こうして血液中のブドウ糖を細胞の中に取り込みやすいように準備をします。

 

②余ったブドウ糖を保存しやすい形に変えて貯蔵する

細胞内で使いきれなかった余分なブドウ糖を肝臓筋肉に「グリコーゲン」に変換して貯蔵するように促します。

それでも貯蔵しきれなかったブドウ糖を脂肪」に変換して脂肪細胞に貯蔵します

 

私たちが食事をする度に、インスリンが働いて私たちの血糖値は正常な量でコントロールされます。

インスリンは私たちの体にエネルギーを供給・貯蔵するという、生きていくために必須の重要なホルモンなのです。

しかし、この「余ったブドウ糖を脂肪として蓄える」という働きが、現代の食生活においては肥満と深く関わっているんですね。

インスリン抵抗性って何?鍵と鍵穴でスッキリ解説!

インスリンは血液中のブドウ糖を細胞の扉を開けて、細胞内へ届けるという「鍵」のような役割をもっています。

では、この「」がうまく機能しなくなったらどうなるでしょう?

それが「インスリン抵抗性」という状態です。

🔑 インスリン抵抗性とは、細胞の「鍵穴」が鈍くなること

私たちの体の細胞には、ブドウ糖を取り込むための「鍵穴(細胞の受容体)」がたくさんあります。

インスリンは、この鍵穴にぴったり合う「」です。

〇正常な状態

  • インスリン(鍵)が細胞の鍵穴に差し込まれる
  • 細胞のドアがスムーズに開き、ブドウ糖が中へ入る
  • 血糖値が適正に保たれる

〇インスリン抵抗性がある状態

  • 細胞の「鍵穴」がサビついたり、歪んだりした状態
  • インスリン(鍵)が差し込まれても、ドアがなかなか開かない!
  • ブドウ糖が血液中に留まってしまう・・・

💦 体は「無理やりドアを開けよう」と必死になり…

血液中にブドウ糖が溜まったままにしておけないので、体は次の手を打ちます。

  • 体は血糖値を下げようと、膵臓からより大量のインスリンを分泌されます
  • うまく合わない鍵穴を「たくさんの鍵」で無理やりこじ開けようとしている状態です。
  • この状態が「高インスリン血症」と呼ばれる、常にインスリンが過剰分泌されている状態です。

⚡️ 高インスリン血症が起こす「負のスパイラル」

この「高インスリン血症」が長く続くと、体に大きな問題が起こります。

・ブドウ糖が使われにくくなる

 細胞がブドウ糖を取り込みにくいため、体がエネルギー不足を感じやすくなります。

 

・脂肪がたまりやすい

 大量に分泌されたインスリンは、余ったブドウ糖を「脂肪として蓄える」という働きをますます活発にしてしまいます。

インスリンには脂肪の分解を抑制する作用もあるので、インスリンが多い状態ではさらに肥満を助長してしまいます。

 

・肥満と病気のリスク上昇

ブドウ糖は細胞に取り込めないのに、脂肪だけがどんどん増えていく。

これによりさらにインスリン抵抗性は強くなります。

 

・膵臓のオーバーワーク

血糖を下げるために常にフル稼働している膵臓は徐々に疲弊していきます。

するとインスリンを「適切なタイミング」で「十分な量」を分泌できなくなるわけです。

これにより血糖コントロールはさらに悪化。

2型糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクを大きく高めてしまいます。

 

インスリン抵抗性を改善するためにできる対策

細胞の「鍵穴」がサビついてしまっているインスリン抵抗性。

でも安心してください!

生活習慣を見直すことで、インスリンが働きやすい状態に戻すことが可能です。

今日からできる具体的な対策を3つの柱に分けてご紹介します。

1. 🍽️ 食事を見直す:血糖値の急上昇を抑える食べ方

インスリン抵抗性の最大の原因の一つは、血糖値の急激な乱高下です。

これを防ぐ食事の摂り方が、鍵穴の感度を鈍らせないための基本です。

 

・糖質の質と量を見直す

血糖値を上昇させるのは「糖質」のみです。

白米、白いパン、うどん、菓子、清涼飲料水など精製された糖質は特に血糖値を急上昇させます。

普段の食事で糖質摂取が多い人はこれらを減らすだけでも効果がありますよ。

 

・血糖値が上がりにくい低糖質食品を選ぶ

食物繊維が豊富な野菜、きのこ、海藻類、肉、魚、卵などは積極的に摂りましょう。

多くの人が十分に摂れていません。

 

・「カーボラスト」を意識する

食事の最初に肉や魚などのたんぱく質、野菜やきのこ、海藻などを食べます。

炭水化物は食事の最後に食べましょう。

これにより満腹感を感じやすくなり、炭水化物の摂取量を抑えることもできます。

これにより血糖値の上昇も緩やかになるとされてます。

 

・よく噛んでゆっくり食べる

早食いは満腹感を感じる前にどんどん口に入れてしまうため、糖質の多量摂取につながりやすいです。

一口ごとに箸を置くなどして、ゆっくりよく噛んで食べましょう。

 

2. 🏃‍♀️ 運動を取り入れる:細胞の「鍵穴」を活性化!

運動は、インスリン抵抗性改善に非常に効果的な方法です。

特に筋肉を動かすことは、細胞のブドウ糖の取り込み能力を高め、「鍵穴」の感度を良くしてくれます。

 

・有酸素運動

ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなど、軽く息が弾む程度の運動を1日30分以上、週に3〜5回を目安に行いましょう。

食後1時間以内に行うと、食後の血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。

朝食前の空腹時に行うと脂肪燃焼に効果的です。

 

・筋力トレーニング

スクワットなど、大きな筋肉を鍛える運動を週に2〜3回取り入れましょう。

筋肉量が増えるとブドウ糖の消費効率が上がり、インスリンの働きが改善されます。

 

・「座りっぱなし」を避ける

1時間に1回は立ち上がってストレッチをするなど、こまめに体を動かす習慣をつけましょう。

 

3. 😴 生活習慣を整える:ストレスと睡眠の質も重要

食事や運動だけでなく、日々の生活習慣もインスリンの働きに大きく影響します。

 

・十分な睡眠の確保

睡眠不足はホルモンバランスを崩し、インスリン抵抗性を高めることが知られています。

睡眠時間が不規則人、夜勤がある人はリスクが高いですね。

質の良い睡眠を7~8時間目指しましょう。

 

・ストレス管理

慢性的なストレスは血糖値を上げるホルモンの分泌を促し、インスリンの働きを妨げることがあります。

リラックスする時間を作る、趣味に没頭するなど自分なりのストレス解消法を見つけましょう。

糖質たっぷりの食品をたくさん食べてストレス解消するのは避けた方が良いですね。

インスリンを味方につけて、健康な体を取り戻そう!

インスリンが私たちの体で果たす重要な役割、そしてそれが肥満、さらには2型糖尿病へと繋がる「インスリン抵抗性」という状態について深く掘り下げてきました。

インスリンを正しく理解し、日々の生活習慣を少しずつ整えることで、健康的な体を取り戻すことは十分に可能です。

あなたの細胞の「鍵穴」を磨き、インスリンが働きやすい体を作ること。

その一歩が、きっとあなたの健康な未来を拓く力となるはずです。

あなたにとって、今日から変えられる「小さな一歩」は何でしょうか?

毎日食べているお菓子を減らしてみる?

食事の順番を意識して、「カーボラスト」から始めてみる?

それともエレベーターではなく、階段を選んでみる?

1日のどこかで軽いウォーキングを取り入れてみるのも良いかもしれませんね。

どんなに小さなことでも良いと思います!!

まずは「これならできそう!!」と思うことから始めてみましょう。

「Baby steps to Giant strides」

小さな一歩がいつか大きな進歩につながりますよ!!

それではまた。